3-10. 方向性を読む

経営者、永遠のテーマ
──先が読めないと ・・・
 
べつに今年の課題というより、永遠の経営の課題ですが…。
 
このテーマを考える時に思い出すのは、スマホに乗り遅れて失速した、HP(ヒューレット・パッカード)とノキアの例です。
 
ノキアも見事に失速しました。  対照的な二つの記事があります。
『日本経済新聞』二〇〇三年六月二十一日
  「グローイング・ペイン」成長に痛みはつき物だが、痛みがあるからこそ成長する。ノキアのオリラ会長が好んで使う言葉だ。機敏で大胆、批判を恐れない、変わり続ける経営で世界の携帯電話機需要の拡大に急ブレーキがかかっても黒字を維持している。成長の強さの秘密は変化への適応力。同氏がCEOに就任したのは一九九二年。「狂気の沙汰」といわれた決断で、弱小部門の通信機器事業に特化し、携帯電話の世界シェアを四割近くの企業に導いた。
『選択』二〇一二年九月号
 
二〇〇八年、世界の携帯電話市場で四〇%近かったノキアのシェアは四年足らずでほぼ半減した。シェア低下の要因はスマートフォンの波に乗り損ねたことと、新興国、途上国における低価格携帯電話の急激な普及に対応しきれなかったことだ。「驕り」と「硬直化」。ノキアの凋落はIT産業の「栄枯盛衰」の典型例と言える。
 
大企業でも経営は高速エレベーターです。
上がったり下がったり、又陽が昇ればいいんですが。
 
私の目下の大きな関心は、アップルです。
 
ご存知のように、アンドロイドは、コラボレーション戦略、アップルは、鎖国戦略ですから、最近では、第二のマッキントッシュになるんではないかという記事もちらほらです。
──リコーの低迷
 
IT企業だけではありません。五、六年前絶好調で、強さに研究とまで評価されたリコーも旗色が悪い。
 
私はこの記事を読んで大変感心したことを覚えています。
 
M&Aの成功が要因、好業績という記事でした。
「日経ビジネス」二〇〇七年六月一一日号
 
リコーが企業買収を本格化させた一九九五年当時、ライバル、キャノンの海外売上高比率が七〜八割なのに対してリコーは三割と立ち遅れは明らかだった。そこで、もともとリコーと取引のある海外の販売会社四社を買収した。もともと取引のある販売会社を選んで買収することで消耗品やメンテナンスなどのサービスなどの拡販に既存の顧客をそのまま活用するという戦略は見事に当たり、リコーの海外売上高比率は五〇%を超え、業績は大きく伸びた。
そして、リコー全社一丸で御用聞き、IT機器すべて面倒見ます。
『日経ビジネス』二〇一〇年一〇月四日号
 
企業の設備投資抑制により複写機業界が世界的に販売が伸び悩む中、リコーはネットワークの導入、保守業務を行う「ITサービス」を成長事業に位置づけている。自社製の複写機のみならず、他社製のPCやルーターなどのネットワーク機器、時には業務用ソフトの使い方まで指南する。顧客の“ご用聞き”となって、できることは何でもする。この姿勢こそ、同業から「販売のリコー」と恐れられる営業力の源泉である。中小企業で顧客基盤を築く原動力となってモノに頼らない体質への転換により再び成長軌道を目指す。
 
わずか四年後、今度は、リコー一万人削減は汚点ですからね。
 
失敗の要因は、M&Aの失敗です。
『FACTA』二〇一一年八月号
 
巨額を投じて買収はしてみたものの、計画があまりに稚拙だったため、傘下に収めた海外販社の制御が利かなくなったそうです。
『選択』二〇一二年六月号
 
今ではかつて「販売のリコー」と恐れられた営業手法は旧態依然の「どぶ板営業」とまで揶揄される始末です。
 
確か、伊藤雅俊セブン&アイ・ホールディングス名誉会長が、講演で、「人間は好きなことで失敗する」と言っていました。
 
私も気をつけなきゃ。(笑)

【POINT】
HP(ヒューレット・パッカード)、ノキア、リコーなど大企業 でも経営は高速エレベーターのように上がったり下がった りしている。経営者にとって「方向性を読む」ことは永遠の課題である。