2-3.残存者利益を取りに行け!

生き残るために
──「最後の氷売りは必ず儲かる」
 
すなわち、同業者の廃業が相次ぎ、競争が沈静化すると、残存者は知らぬ間に有利になって
いきます。
 
私見ですが、今後一〇年はそんな時代が続いていくのではないか?
 
結論は簡単です。残れば勝ちです。残るためになにをすればいいか、今後はその戦いです。  
極論すれば、「勝つか負けるかではない、勝つか死ぬかだ。」と言う人もいます。(笑)
 
どんな業種でも、再編や統合が進んで、大手しか生き残れないように言いますが、これを見
誤らないでください。
 
例えば、ゼネコンを見てください。スーパーゼネコンは残って、準大手がすべてと言っていいほどなくなりました。
 
でも、地場で特徴を持ち、頑張っているゼネコンのように、隆々としている企業は山ほどあります。
 
中途半端はダメということです。
 
あとでも触れますが、国内業種は、いくら大手でもシェアが取れないのです。
 
中小でも十分勝機があります。
 
次の図を見てください。日本の事業所数の推移です。
極論をする人は、今後一〇年で、五〇万社?
 
減ると悲観的に予測する人がいます。
 
いいじゃないですか?
 
逆に競争相手がいなくなり、残存者利益がとれます。
 
日本のGDPがたとえ半分に減っても、まだまだ、日本は経済大国、ビジネスチャンスは大いにあります。
 
残り物には必ず福があります。
──市場は縮むが、ライバルも減少する
 
私は、事業承継のセミナーで、しゃべる際、なにがなんでも、後継者に事業を継続させろと言います。
 
皆、市場が縮むことしか考えていませんが、それ以上に、会社、事業者の廃業の方が多いのです。
 
残存者利益を取りに行けという根拠の一つは、これです。
生き残りの時代はM&Aの時代でもある
──たわけ
 
私は、日本の市場を「持ち点が毎年少なくなるマージャン型市場」だと言い続けています。
 
マージャンは全体のパイが一定ですから、振り込んだ人とツモもった人では、倍差が開きます。
 
又、ひっくり返せば、自分のものになるオセロゲームでもあります。
 
すると、M&Aは、マージャン型市場には、ピッタリはまります。
 
弊社もM&Aを繰り返してきました。
 
私の経験では、一足す一の合併は、二プラスαの効果があります。
 
やり方次第です。だいぶ授業料を払いましたが…。(笑)
 
逆に私見ですが、「二引く一は、一以下になる」
ですから、つまらない意地で、よく会社や政治も分裂しますが、分裂はお互いにパワーは一以下に確実に落ちます。
「たわけもの」といいますが、これは田を分ける奴はバカだというところからきています。
 
政党を見たってそうじゃありませんか?
 
分裂して得をしたという政党はありません。
 
ちょっと言い過ぎ?(笑)
M&Aは、長期で見る?
──五分五分
 
少し古いですが、合併無残というタイトルの記事(『日経ビジネス』、二〇〇七年五月七日号)がありました。
  「これ以上の組み合わせはない」と言われて合併したにも拘らず、二件に一件は失敗してい ると書いてありました。
  「自分たちのやり方を強引に押し付け、買う側の奢りが買われた会社の社員を押し潰す。その結果、会社の収益力まで毀損してしまう。買収無残」(同誌)
 
でも、タイトルは、「大買収時代」です。
 
この記事は二〇〇七年ですから、六年経ちました。
 
今では、M&Aは、普通の時代になりまして、M&A後のオペレーションも進化しています。
 
ホントに大買収時代になりましたね。
 
M&A仲介最大手の一つである日本M&Aセンターが、東証一部にあがり、あの高い業績を見ただけでも、間違いなくM&Aの時代です。難しく考えないでください。
 
日本M&A社の分林会長が、能を演じます。
  「能の様に華麗に動き、稼ぐ」と言ったとか。真偽の程はわかりません。(笑)
 
さて、五割は失敗だったと同記事は書いていましたが、逆に、成功は五割、イチローの打率より格段に高い。
 
やはり、M&Aはやるべきなんでしょうね。
──ある日得意先が突然、消える時代
 
M&Aをされた企業が自社の主要な取引先だとしましょう。
買収されたことによって、自社の主要顧客が一瞬にして消えてしまいます。
 
いくら、その顧客と親密で、トップといくら親しくても買収されてしまえば、なんの役にも立ちません。
 
残存者の戦いは、常に売り先を失う恐怖がある時代でもあります。
 
ですから、一社依存は、とても危険な時代でもあります。
マーク替えの時代
──コンビニ業界死闘の幕開け?  「○肉○食」を「焼肉定食」と書く、古い冗談がありました。
 
次の記事にもあるように、コンビニは、もう業界四位のサンクスを巡って食い合う時代になりました。
 
弱肉強食時代の終わりの始まりです。
 
フランチャイズチェーンのフランチャイジーを取り合う戦いです。
 
ある日、いつも行っていたコンビニが、違うマークで営業していた。
首都圏でも、二〇一〇年、エーエム・ピーエム・ジャパンがファミリーマートに替わりまし
た。
 
マーク替えの時代がきましたね。
 
どこまで進むかわかりませんが、生き残りをかけた戦いの序幕のような気がします。
 
ザー(本部)だけでなく、ジー(加盟店)も死活問題です。
 
ザー次第で、営業支援も売上げも違うとなれば、いい方に付きますよね。
 
高成長のコンビニなぜくら替え?
  (『日本経済新聞』二〇一二年一〇月二〇日)
 
四国で「サンクス」約一二〇店を展開する地域運営会社が、セブン–イレブン・ジャパンへの契約切り替えを希望していることが表面化した。背景には、生活がかかった加盟店の厳しい視線がある。加盟店の流出はサークルKサンクスだけの問題ではない。契約が満了したオーナーが再契約する率はセブンで九三%。他の大手・中堅は七〇〜八〇%程度で、更新時に相当数が廃業か、チェーン切り替えを選ぶ。業界には他チェーンのオーナーを勧誘しないという紳士協定があるが、契約切れを機にセブンには年間三〇〜四〇店が移って
くるようだ。独自商品の開発、テレビCMの大量投下、値引きセール…。競争の最前線に立つ加盟店に対して本部は様々な営業支援を行う。「二四時間営業の苦労は、どこも変わらない。ならばより実のある支援をしてくれる本部を選ぶのが加盟店心理だ」(大手チェーン役員)
──ナショナルチェーン&地場連合
 
後述しますが、サービス業は大手、ナショナルチェーンが必ずしもシェアをとれるわけではありません。
北海道、北東北でもアークス、ユニバース、ジョイスの地場連合対ナショナルチェーンの戦 いに入っています。
 
そして、さらに地元密着の優良スーパーがある訳ですから、正確には三つ巴の戦いなんですね。
 
成否のキモは、売上げではなく、利益率かな?
 
ナショナルチェーンのバイイングパワー対ボランタリーチェーンの地場連合。
PB商品の売れ次第、在庫、これが成否を決めるような気がします。
 
余計なことですね。(笑)
──残存者利益の確保は戦略次第
 
私の好きな言葉は、孟子が言ったという、「努力には方向性がある」です。
 
今の経営は、方向性を間違えますと、いくら努力しても、実らない時代になりました。
 
ですから、頑張れと便利な言葉も、方向性を間違えますと、まったく無駄な努力を部下に強いることになります。
 
道案内として、リーダーの役割は、非常に重要だという所以でもあるんですね。
 
ですから、残存者利益の確保は、企業の方向性、戦略で大きく変わるということです。
 
生き残りをかけた二強でもおのおの戦略が、際立って違います。
 
二強のどちらが、残存者利益を享受できるのか、一強になるか、戦略の違いが大きく影響します。
 
近い将来、結論が出ます。
成長と承継
──縮むマーケットだからこそ「成長」する
  「成長しなければ死んだも同然」ユニクロ柳井会長の有名な言葉です。
 
個人的には、私は好きな言葉です。
 
弊社の基本ポリシーも、「個人も成長できる組織であること」です。
 
当然ですが、縮むマーケットでは、皆が右肩上がりになるわけではありません。
 
自社が成長すれば、倍差がつきます。
 
又、社員のモチベーションを上げるためには、成長が不可欠です。  
単純に言っても、組織が成長しなければ、昇給も昇進もありません。
 
私は、若い人は、「舞台を与えれば役割を果たす」と思っています。
 
ここ三年ぐらいで、弊社も出先を二〇ヶ所以上作りました。
 
一番のメリットは、やはり、若い人が育ったことですね。
 
これは、私の実感です。
  「組織と魚はあたまから腐る、社員はヒマから腐る」(笑)。
──継いだが勝ち
 
もちろん、後継者がいるという前提ですが、プレーヤーも少なくなりますから、前述したように、何が何でも継がせたが勝ちです。
 
私の知っている会社は、近場のライバルが後継者不在で廃業して、結果その同業者のお客様を、無料で引き継げました。
 
通常、営業権は有料ですが、タダでもらったわけです。
──売り時もキモ
 
一見矛盾するようですが、逆に売り時のタイミングも重要です。
 
特に後継者不在の企業は、トップは、絶えずこの問題を考えていなければなりません。
 
私見ですが、特徴のない準大手は、どの業界でも無くなっていっています。
  「エ、こんな値段がつくの?」
 
びっくりするような、値段がつく業界もあります。
 
でも、業界の再編が終わったら、そんな値段はつきませんよね。
最近の記事でも、「医薬分業で儲けたのは、調剤薬局だけだ」なんて記事を見ますと、この業界は、今が高値だな?なんて勝手に考えてしまいます。
 
この記事によると、調剤薬局は強烈な伸び率で市場を拡大させており、一九九五年度に一兆二六六二億円だった薬局調剤医療費は二〇一一年度には六兆五六〇一億円までに激増しているといいます。店舗数もコンビニエンスストアの四万四千店を大きく上回る五万三千店。門前市をなすといいますが、病院のそばに「調剤薬局」が林立している光景はどこでも見かけます。背景をたどれば、「医薬分業」を錦の御旗に調剤業界を優遇した厚生労働省の利益誘導政策の結果であり、官製価格に支配された医薬品業界では、薬系技官のさじ加減一つでバブルにもなれば干上がりもすると言います。(「調剤薬局「バブル」の不条理」『FACTA』、
二〇一二年一〇月号)──財務戦略の巧緻
 
残存者利益をめぐる企業戦争は、財務戦略の優劣が勝負を決めることも多々あります。
 
すぐに手がねでM&Aの資金を出せる、財務体質をつくる。
潤沢なキャッシュフローは、企業の大きな武器です。
 
何回も言いますが、そのためにも企業は収益力をつけなければならない。
売上げも利益も大事です!
──事業承継しても、業種にこだわるな
 
私の出身の岩手でも、私が子どもの頃、羽振りのいい会社は、卸屋さんでしたが、私が、この仕事を始めた頃、三〇年以上前ですが、もう盛りは過ぎていました。
 
○○ショップという電器屋さんも二代目が継いでいましたが、もう量販店に押されてダメでしたね。
 
知人が、それを称して、「初代の叩き上げが、頑張って、事業を拡大し、学歴の高い二代目が継いで、商売がダメになる。」と言っていたことを今でも、覚えています。
 
その頃は、叩き上げは違うなーとだけしか、思っていなかったのですが、今では、「同じ業種で、盛りは続かない」だから、二代目だけのせいではないな?と実感しています。
 
単純に言います。
 
業種で継いではいけない、業種にとらわれてはいけない。
業種より、業態で考える、継ぐコツは、これです。
 
事業承継は、ベースが出来ていますから、一から始める人より、ホントは、優位性があるん
です。

【POINT】
①「最後の氷売りが必ず儲かる」時代がきた。
  →残り物には福がある。
②生き残りの時代はM&Aの時代(大買収時代)である。
   いまやM&Aは普通に行われる時代
  →得意先が突然いなくなる時代。    
  一社依存はとても危険!
③フランチャイズチェーンはマーク替えの時代
 本部だけでなく、加盟店も生き残りをかけた戦いをしている。
④ナショナルチェーンが必ずしもシェアを取れない
 ナショナルチェーン対地場連合の戦い。
⑤残存者利益の確保は企業の方向性、戦略次第である。
⑥マーケットが縮む時代では「組織と個人の成長」がキー ワードとなる。
⑦後継者がいるならば、何が何でも継がせたが勝ち。
⑧M&Aの時代では、売り時も重要である。
⑨残存者利益をめぐる企業競争は、財務戦略の優劣が勝 負を決める。
  →企業は収益力をつけなければいけない。
⑩事業承継のコツは「業種より、業態で考える」。