2-2 . 「 金融 ・ 内需(サービス) ・ 都市、そして粗利 」

二〇一三年の無視できないキーワード
──金融
 
昔、株式会社イトーヨーカ堂(イトーヨーカドー)の創業者で、現株式会社セブン & アイ・ホールディングス名誉会長・伊藤雅俊さんは、「金融だけは絶対やるな」と言ったそうです。
安易に稼げる商売はするなという意味なんでしょうか?(ホントに言ったかどうか真偽の程はわかりませんが…。)  
でも、どうでしょう、今では、グループのセブン銀行は、すごい高収益です。(正確には、 融資をしていませんが。)
 
又、セブン–イレブンに、ATMを置いています。
 
トヨタでも、利益の三割を、金融で稼いでいるといいます。(『日本経済新聞』、二〇一二年九月六日)
 
同紙によると、金融事業を展開する主力企業四〇社の二〇一一年度の営業利益に占める金融比率が二七%に達しているそうです(二〇〇七年度は七%)。
為替相場や景気の影響で本業の収益が振れやすいのに対し、金融事業は貸出金などの残高に応じて一定の金利収入が稼げる強みがあります。
円高や世界景気の変調で業績の不透明感が強まる中で、本業を補う安定収益源として金融の重みが一段と増していると言えるでしょう。
 
しかし、識者は、
  「モノで儲けられなくなって、金融に行く、そして最後はダメになる。」
 
GE等の例を引き合いに出してこう言います。
 
でもGEは金融も主力ですが、隆々としてますものね。
 
それはともかく、マネーの時代であることには、変わりません。
 
ですから、なんらか、金融にかかわるビジネスは、やはり儲けとして無視はできません。
──内需

 
日本は、腐っても鯛?
 
やはり、GDPも高いし、世界の中でも商売がし易い国です。
 
そのためには、既成概念を捨て、従来の垣根を越えて、「需要創出」をする必要があります。
 
高度成長期と違い、現在は情報時代です。
ベンチマークする企業が山ほどあります。
 
こんな記事がありました。
  「企業収益逆風に勝つ→内需で相次ぐ高収益」(『日本経済新聞』、二〇一二年八月二〇日)
 
輸出企業が苦戦し始めるなかで内需型企業の健闘が目立っているそうです。二〇一二年の四半期決算(四〜六月期と三〜五月期)では、最高益を更新した五七九社のうち五割強が内需型の企業だといいます。
 
オリエンタルランドが高収益を上げたという記事ですが、私たちの身近で参考になる会社が山ほどあります。
 
業種を超えて、いい会社を参考にすること、まねることがキャッチアップの近道です。「学びはまねる」です。
 
そして、価格競争に巻き込まれない、消耗戦に巻き込まれない、巻き込まれたら、勝つ。
──都市
 
前述しましたが、プライメイトシティは、ビジネスのキーワードになります。
 
都会はレッドオーシャンと言われて競争が激しい、地方は市場規模が小さいが、競争がない。
でもやり方次第では、市場規模が大きい都市でも、ブルーオーシャンとなり得るのではないか。
 
レッドオーシャンの中で、ブルーオーシャンを勝ち取る。
 
そのキーワードは、商品サービスの差別化と利益率。
 
私の今年の仮説です。
 
少しヒントになるのが以下の記事です。
  「しまむら、営業益最高に→都市部への出店が寄与」(『日本経済新聞』、二〇一二年八月二五 日)
 
記事を読んでみますと、都市の出店、粗利の良い商品の投入が、収益率向上の要因と書いていました。都市部の一店あたりの平均売上高は、郊外店に比べて五割ほど多いそうです。
 
間違いなく都市の時代です。
──そして利幅
  「値付けは経営」という京セラ稲盛さんの有名な言葉を待つまでもなく、利益率を上げる商品開発は、中小企業では、トップの最優先課題です。
 
価格競争ばかりの会社は倒産し、価格競争の末に勝ち残るのは、資本力のある一社だけになります。(『日経トップリーダ』ー、二〇一一年一一月号)
 
ある大手のホテルでは、ノロウイルス対策に従業員のトイレに監視員を置いて、いちいち消毒したかを監視させているそうです。
 
これは、余分にかかるコストです。こんな時代は、つくづく、企業は儲けなくてはいけない、粗利の高い商売をしないと持たないなと思いますね。

粗利を上げる方法
──価格は一定ではない
 
経営者の大きな仕事の一つは、自社に染みついた固定観念を捨てさせる努力ではないかと思います。
 
二〇年でデフレが染みつきました。値段を下げないと売れないという観念が染みついたんですね。
でもディズニーランドのように、パスポートを値上げしても、繁盛しているところもあります。
 
又、プライスは、地方が低いわけでもないし、全国一律というわけでもありません。
 
地方は競争がないから、価格を上げられるという商品も十分あります。
 
知り合いの会社では、社長が各支店を廻って、価格を見直させ(全国一律だと思っている固定観念を払しょくさせ、各地に合わせてプライスを見直した。)、収益を改善したという例もあります。
 
社長の重要な役割は「安売り競争に巻き込まれない。価格戦略を絶えず検討し、現場と共有すること」。これは、重要な仕事の一つでしょうね。
──川上へ、川下へ翼を広げる
 
業務用食品卸会社の例ですが、
  
①顧客を、業者から一般消費者に変える。(B to BからB to Cへ)
  
②川下から川上へ、安く提供するため、仕入れ先のメーカーを傘下に入れていること。
 
いわば、メーカーとして、川上へ進む。又、B to BからB to Cと川下へ翼を広げる。
業態が進んでいる業務用食品卸の会社は、こんなふうに事業展開しています。
 
サケが川を上がることを「逆上がる」と言うそうです。
 
川上へ向かうことは、流れに逆らって進みますので、実践は難しいと言われてきたのですが、
もうそんな時代ではない。
 
卸は、粗利が低く、貸し倒れのリスクも高い。
 
このように翼を広げての業態変換は、粗利を上げる方法でもあります。
SPA
──ワイシャツ業界
 
ワイシャツ業界でもSPA(製造小売り)の時代に突入という記事が出ていました。
 
SPAはご存知のように、粗利が高い。
  『週刊ダイヤモンド』二〇一二年一一月二四日号
ワイシャツ業界はアパレルの中でもとりわけ競争が激しい。デザインで差が出にくいた、価格競争に陥りやすく、単価は下落傾向にあり、小売はメーカーから買い叩きかろうじて利益を上げている。
 
かつて四五〇社程度あったワイシャツメーカーは厳しい環境に倒産や廃業があいつぎ、今や四〇社しか残っていない。そんな中でもメーカーと百貨店との取引はいまだに委託販売が中心。シーズンが終わるたびにメーカーは在庫の山に泣かされてきた。
 
そこに風穴を開けたのがメーカーズシャツ鎌倉である。シャツの発注に商社やメーカーを通さず、工場と直接取引し自ら販売するSPAを導入。既存の商習慣を打ち破り、顧客本位の商売を貫徹し成功した。
 
SPA旋風はメーカーにも及び、かつては卸売りだった東京シャツは二〇〇四年にSPAにシフトして、国内最大のワイシャツ専門SPAとなっている。クールビズをきっかけにデザインも大きくかわりつつある。構造変化と競争激化の中で、変わる消費者ニーズに応えたものが勝者となる。
 
どの業界でも、粗利を上げる戦いが始まっているのですね。
PB(プライベートブランド)だって、一種のSPAです。
 
昨今のスーパーやコンビニのPBブームだって、ポイントは粗利の向上です。
  『週刊東洋経済』二〇一二年一二月二二日 号にPBブランドの特集記事が出ていました。
 
記事によると、現在、PBの年間市場規模は三兆円内外、増加率もここ数年二桁増を続けており、スーパーやコンビニ各社など、小売大手の大半がPBの拡充やテコ入れに取り組んでいるそうです。PB商品はメーカーのNB(ナショナルブランド)商品に比べて五〜一〇%程度は粗利益率が高いと見られています。書店、靴店、ホテル、家電量販店…意外な業態でもPB開発が進んでいるようです。
 
日本よりPB商品が浸透している欧米を見ると、最もPBが強い国の一つと見られる英国では食品のPB比率は五割を超えているそうです。また、米国では小売によるメーカー買収の動きがあるとか。それに比べると、日本のPBシェアは約一割なのでまだまだ初期段階だそうです。
 
ワイシャツ業界は、大手が跋扈する業界では決してありません。
 
でも、そんな大手のいない業界でもこのような動きがあるということは、中小でも考えなければならない、身近で、お隣さんがやっている時代になったということです。
安閑としてはいられない!
 
でも仕事は暗くならず、楽しくやってくださいね。(笑)
──そして雑収入(間接的利益)
 
LCC(格安航空会社)の利益の三割が付帯収入といいます。(『日本経済新聞』、二〇一二年七月七日)
 
機内販売、荷物の重量加算料金、広めの指定料金等、付帯サービスで収益を補うビジネスモデルです。
 
ヤマダ電機も、法人需要等の付帯利益(山田会長は、間接的利益と言っています)は三割がメドと言っています。
 
本業で差別化できないビジネスは、付帯収入の良しあしが、企業の競争力かもしれません。

【POINT】
①マネーの時代に金融に関わるビジネスは無視できない。
②輸出企業が苦戦する中、内需型企業が健闘している。
 業種を超えて、いい会社を参考にし、真似る。そして、価 格競争に巻き込まれない。
③競争が激しい都市部でも、やり方次第ではブルーオー シャンになる。
 キーワードは、商品サービスの差別化と利益率。 ④利益率を上げる商品開発はトップの最優先課題であ る。
 川上・川下への事業展開・SPA(製造小売り)・PB(プラ イベートブランド)の狙いはいずれも「粗利の向上」で ある。
⑤本業の差別化ができないビジネスでは付帯収入の良し あしが、企業の競争力となる。